物忘れと認知症の違い
覚えたはずのことが思い出せない「物忘れ」は、典型的な脳の老化の現われのひとつです。多くの人が物忘れを気にするのは、それが認知症の代表的な症状だからではないでしょうか。
人の名前や物の置き場所がとっさに思い出せないのは、若い人にもよく起こることです。さらに忘れたという自覚があれば、脳の老化をあまり心配する必要はありません。しかし、物忘れは認知症の前触れであることが多いので、油断は禁物です。
認知症の人は、自分が物忘れをしたことさえ忘れてしまっています。たとえば、普通の物忘れでは、食べたものは忘れても、食事をしたことは覚えています。ところが、認知症では、自分が食事をしたことまで忘れてしまうのです。しかも、認知症による物忘れは、急激に悪化します。
またお年寄りの物忘れの場合、若いころのことは思い出せるのに、最近のことは思い出せないという特徴があります。
たとえば、何十年も前の出来事について、当時の人の名前や場所をはっきりと話せるのに、昨日のことは忘れてしまっているといった具合です。
そうした物忘れに深くかかわっているのが、脳の海馬(かいば)という部位の老化です。海馬は、記憶という脳の働きにおいて、司令官ともいうべき重要な役割を担う部位です。
そこで、海馬が関係する記憶の仕組みについて説明したいと思います。
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