記憶力のキーポイントは海馬
海馬は、脳の奥のほう(大脳辺縁系と呼ばれる部分)に左右ひとつずつある小さな部位です。タツノオトシゴに似た形をしていることから、海馬と名づけられました。
視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感から脳に入った情報は、まず脳の大脳皮質という部位が受け取って海馬に送ります。海馬は情報を分類・整理してから、はじめに情報を受け取った大脳皮質にいったん戻します。大脳皮質は、人類が長い年月をかけて培ってきた文化や思想・社会習慣などが蓄積されている部位です。
脳内に一時的に保存されている情報を「短期記憶」といい、脳裏にいつまでも刻み込まれて知識となる情報を「長期記憶」といいます。長期記憶は、海馬から大脳皮質に送られ、五感からの情報(感覚)の場所によって、それぞれ別の場所に保管されます。
海馬と記憶の関係がわかったのは、1953年のことです。米国の脳外科医が、病気の少年を治療するため、手術で海馬を切除したのがきっかけでした。少年は、昔のことは覚えているものの、最近のことをすっかり忘れ、新しいことも覚えられないようになってしまったのです。
この少年と、先に述べたお年寄りの物忘れが似ていることに、みなさんも気づかれたでしょう。海馬が衰えると、新しい情報の保存がうまくできなくなるのです。
海馬には、記憶を引き出す働きはありません。私たちが何かを思い出すときには、大脳の前頭前野という部位の最先端にある前頭極が働きます。前頭極が発達している生物は人間だけです。
そのため、すでに大脳皮質に長期記憶として保存されている情報は、海馬が衰えても思い出すことができるのです。(ただし、脳の神経細胞に保存されている情報は、神経細胞が老化すれば、新しい情報から順に消えていくという性質があります)
>>>「脳の若返りは海馬を活発にすること」へ
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