記憶力と集中力を活発にさせるのは朝食
私たちの脳が働いているのは、起きている間だけではありません。私たちが夜寝ている間も、脳は私たちの生命を維持するために、休むことなく働いています。
そのため、朝起きたばかりの脳を養う肝臓は、栄養をほぼ使いきり、栄養不足の状態になっています。つまり、朝食をとってエネルギーを補給しないと、脳の働きが衰えてしまうのです。
しかも、脳は大量のエネルギーを消費する器官です。大人の脳の重量は、全体量のわずか2%しかありませんが、体全体が使う総エネルギーの18%も消費するのです。
私たちの体のエネルギー源は、三大栄養素といわれる「糖」「脂肪」「たんぱく質」です。ただし、脳は肝臓から供給されるブドウ糖(グルコース)のみをエネルギー源としています。
朝食をとれば、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が脳に供給されます。すると全身の「時計遺伝子」(脳内で昼夜を区別する体内時計をつかさどる遺伝子)が目覚め、集中力や作業能力・学習能力が高まります。
そして、記憶力が日中に最高となるように、脳の働きが活発になっていくのです。
朝食に含まれるブドウ糖が脳にどのような影響を与えるか調べた実験があります。
米国ヴァージニア大学のB・C・マックネイ博士は、2000年に、ネズミを迷路に入れて逃げ道を考えさせて、知能テストをしました。その際、脳がどのようにブドウ糖を消費するのかを確認しています。
博士は、朝食をとることによって、脳の働きが活発になり、知能テストの成績が上がるのは、脳の記憶の中枢である「海馬」にブドウ糖が供給されているからに違いないと考え、海馬におけるブドウ糖の消費を調べたのです。
ネズミの海馬の近くの細胞外液という液を5分ごとに取り出し、そのブドウ糖を測ると、何も注射しないときや、食塩水をおなかに注射したときは、脳の活動が盛んになるにつれブドウ糖が使われ、減ってしまっています。
ところが、朝食の代わりにおなかにブドウ糖を注射しておくと、脳がブドウ糖を使ってもその分がすぐに供給されて、記憶活動が円滑に行われていたのです。
もう少し詳しく調べると、脳にブドウ糖が供給されれば、海馬の記憶を助ける物質が脳の一部から分泌されることが分かりました。
そして、その物質は海馬に取り込まれて記憶を助けることも分かったのですが、朝食をとったときだけ、その物質の分泌が数百倍にも上昇することが確認されています。
このような実験結果からも、朝食をとることがいかに重要であるかが分かると思います。
さらに、朝食をとれば、脳を活性化するために重要な時計遺伝子が正しく働くことが分かっています。
朝食をとれば、脳の中で爽快な気分を作り出す「β-エンドルフィン」という脳内物質が分泌され、やる気がわき、脳が活性化されます。そのため、成績もアップするようになるのです。
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